古代世界と金属
古代世界における金は、純粋に装飾的機能だけをもって利用されていました。
一方、銅はしばしばより実用的なものに用いられていたのです。
考古学者が金属器時代のはじまりを紀元前6000年ころとし、銅器時代と定めたのは、主にこうした理由からです。
条件つきではあるが、このような呼び方は、用法の上では便利です。
しかしその後、石器時代、青銅器時代、鉄器時代という用語が普及するようになります。
こうした呼称は、それぞれ道具の製作に用いられた主要な素材と一致させて歴史をきちんと年代順に区分した適切な編年法のように見える。
だが事実は、古代の金工職人がそのように順序正しく、ひとつの素材から次の素材へと移行していったわけではありません。
ある時期のある場所では石器が使われていたわけだし、また別の場所では標準的な道具の素材が青銅であったかもしれないのです。
またところによっては、様々な時代をひとつひとつ段階的に経過しなかった地域もあります。
たとえば、中国には銅器時代と呼び得るような段階はなく、一足とびに石器から直接青銅器へ移行してしまった。
同じことはイギリスにもあてはまる。
また日本では青銅器と鉄器がほとんど同時に出現しているが、専門家のなかには、この地域では鉄器が青銅器に先行していたのではないかと推定する者もいる。
ところがアメリカ大陸では、メキシコや中南米の原住民はロートアイアンに慣れ親しんだばかりか、実際には彼らの金工技術が最高の水準に達していたにもかかわらず、16世紀にヨーロッパ人が上陸するまで石が主な道具の素材として用いられていました。